介護業界の外国人求人はどう?現場の受け入れ姿勢も紹介 作成日:2017.09.26
最終更新日:2019.10.31
みなさんもご存知だとは思いますが、現在介護業界は深刻な人手不足になっています。
近年外国人が介護業界で活躍する 場面が多くなりました。日本人を日本人が介護する形が理想な気もしますよね。実際に外国人介護職の方への意見も二分化しています。
今後は海外出身の方が働く光景はもっと増えていくでしょう。求人例を見ながら現状を分析していきましょう。
介護業界の現状はどう?外国人の受け入れ体制
2016年の10月に衆院法務委員会で、ある法案が可決されました。それは、介護業界の外国人の受け入れを強化した法案です。技能実習適性実施・実習生保護法案と出入国管理・難民認定改正案です。
新法案について
技能実習適性実施・実習生保護法案と出入国管理・難民認定改正案が新しくなりました。簡単に言うと日本で働きたいという外国人を支援する法案 です。
今までは農業や漁業のような技術職のための法案でしたが今回初めて人へのサービスとしての法案が可決されました。
日本への在留資格に介護福祉士の資格も追加
在留資格に介護福祉資格も追加されました。介護福祉士の資格を保有している人は介護ビザというビザで最長5年間日本に滞在することができ、更新も可能になります。
さらにご家族の方も日本での滞在が認められます。
そのため、この資格を持っている人は日本での滞在が無期限になります。
働く場所について
現在、外国籍の人は特別養護老人ホームといった介護施設でしか働くことが許されていません。なぜなら、言葉が通じないという不安を解消するためと、トラブルが起きてもすぐに日本人が対応できるようにするためです。
しかし、厚生労働省は外国人にもホームヘルパーのような訪問サービスを許可 することを検討しています。これによって利用者の家に1人で訪問することも可能になります。
介護職としての外国人を受け入れる条件とは
現在介護士の受け入れはインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヵ国からおこなっています。EPAに基づいており、それにはいくつかの求人条件が必要です。
1つ目:半年間日本語の勉強し、日本語検定2級の取得 (日本の大学生や社会人と同じレベル)
2つ目: 3年間研修生として介護現場での実務経験
3つ目:3年後に介護福祉士の国家試験を受験し一発合格
試験について
合格はしなかったが、惜しかった人には一年後にもう一度チャンスが与えられます。日本人ですら合格率は60%の試験なので、非常に大変です。受からなかった人は母国に帰ります。しかし、東南アジアには少子高齢化が進んでいないため、介護施設がほとんどありません。そのため、せっかく3年間介護を学んでも別の仕事をやることになります。
試験に受かっても母国に帰る人がいる
しかし、試験に受かっても4人に1人が母国に帰るという現状があります。
日本語検定2級を取得しているため、母国で通訳などの仕事でも需要があるからです。
東南アジアに現在日本企業が多く進出しているため日本語ができる人材はニーズが高いんです。体力的にきつい仕事や大変な仕事は東南アジアの方にとっても同じです。
人手不足の業界を手伝ってもらっているという意識をもっと持ち、待遇をより改善するべきかもしれませんね。
海外出身の人が働ける求人例を紹介
それでは外国籍の介護求人例をいくつか見てみましょう。
求人例1:アルバイト
- 契約形式:アルバイト
- 仕事内容:入居者の生活のサポート、入浴、食事、排せつ、レクリエーション、通院の付き添い
- 勤務地:千葉県 給与:時給900円~1000円
- 働き方:月に9日休み
- 勤務時間:7:30~19:30の間の4時間以上
- 応募資格:外国人OK(日本語の読み書き会話ができる)、無資格可、未経験可
求人例2:アルバイト
- 契約形式:アルバイト
- 仕事内容:介護業務全般、特別養護老人ホームに入居している人の日常生活援助のすべて
- 勤務地:東京都 給与:時給1000円~1500円
- 働き方:週3日以上、経験・資格は優遇
- 勤務時間:相談
- 応募資格:日本語ビジネスレベル以上、経験不問
求人例3:正社員
- 契約形式:介護職
- 仕事内容:介護業務全般、レクリエーション、食事入浴、清掃
- 勤務地:東京都
- 給与:月給21万円~
- 働き方:年に108日休み
- 勤務時間:日勤→7:00~16:00 9:00~18:00 10:00~19:00
準夜勤→22:00~7:00(月に1~2回)
- 応募資格:初任者研修資格以上、日本語ビジネスレベル
外国人を取り入れるメリット・デメリット
「人材不足だから外国人を取り入れたほうがいい」「外国人と言葉の壁がある」などさまざまな意見があると思います。
そこで、外国人を取り入れることでどのようなメリット・デメリットがあるのかわかりやすく紹介していきたいと思います。
メリット
メリットとしてはこれらの理由があげられますが、一番は人材不足の解消です。
やはり、日本は現在少子高齢社会であるため高齢者を支える人がいないという状況です。そのため、外国人を取り入れることで高齢者を支えていこうという考えです。
今は1人で約3人の高齢者を支えている状況ですが、これからはその人数が4、5人と増えていくでしょう。
また、増えていく高齢者の中には日本人だけではなく、外国人の高齢者も含まれています。
例えば、中国人の人が介護施設に入院してきた際、その人が中国語しかは増すことができなければ上手く対応することはできませんよね。そこで、中国人の介護士がいれば上手く対応することができます。
その他にも、外国から日本に働きに来る人はモチベーションも高く、真面目に働いてくれます。「外国人が職場にいたけど、利用者に対するケアは日本人よりも丁寧だった」という声もあります。
また、異文化も知ることができるので職場の雰囲気も良くなります。
デメリット
デメリットとしてはこれらがあげられます。
日本語を話せる外国人であれば教えるのも楽ですが、日本語を上手く話せない人であれば、まず最初に日本語を話す所から始めなくてはいけません。
日本語検定2級の取得をしていても日本語をうまく話せない人はいます。
また、日本と外国では文化が異なるため、文化の壁が出てきます。宗教上食べるものが禁止されている国もあります。そのため、介護利用者の食べ物にその食べ物が出てきた場合、外国人は不快に思うこともあるかもしれません。外国人には日本で在住するためのビザが必要となります。そのビザが切れてしまったと帰国してしまう人も多々います。
現場の風当たりはどう?リアルな声をお届け
それでは、現場ではどのように思われているのでしょうか。現場の声を見てみましょう。
言語の壁もあるし、外国人が介護の負担に耐えられると思えない
現場の意見として多くあったのは、「外国人が介護の負担に耐えられるとは思えない」というものでした。自分がもし外国いったとして、そこで介護ができるかと考えると、難しいのではないか、という声も上がっています。
言語上で周りの指示が受けづらい、質問もしづらい、介護福祉士の資格の勉強も難しい。そんなことになった時に、耐えられるのか、という問題はあります。日本人でも耐えられない人が多い介護職。
違う土地、文化、思想で育った方にとっては、非常に負担になってしまってもおかしくはありません。
結局は人柄だから、国籍や育ちはどうでもいい
結局最後は人柄だから、国籍や育ちなんてどうでもいい、という声も上がっています。
実際には人不足なのだから、手伝ってくれるだけありがたい、というわけですね。
肯定的な意見としては、「優しい人が多い」「丁寧な人が多い」というものがありました。
また、さまざまな文化の人と触れ合えて楽しいという意見も出ています。
人が増えたところで最終的に現場の負担になってしまう
肯定的な意見がある一方で、風当たりの強さを感じる意見も多く出ています。
「片言の言葉で働かれても、現場の負担にしかならない」「仕事観の違いが顕著すぎる」などの声が聞かれます。
そんな中でも、仕事観に関しては、「仕事は二の次で、急に休むこともある」「仕事が残っていてもきっかり定時で帰ってしまう」などの意見が出ました。
全員がそれをできるような環境になるのが理想的ですが、それができない今、和を乱すような行動に見えてしまうようですね。
他国出身介護職の例を紹介
フィリピンから来日したハニーさんを見てみましょう。ハニーさんは現在東京と足立区で働いてます。
彼女は、もともとフィリピンで介護の勉強をしていました。そこから、日本に来てチャレンジしてみたいと思ったそうです。
2009年に来日し、6か月介護福祉士の国家試験の勉強をしながら日本語の勉強もしていました。特に医療用語や病名が難しく、漢字が特に慣れなかったようです。
まとめ
介護業界は今深刻な人手不足な状況で求人も多く出ています。そこで政府も対策として外国人の介護士をより多く受け入れる政策も打ち出しています。しかし、政策だけではカバーできない分野もあります。
受け入れる側も日本人の都合で物事を進めたり、外国人にきつい仕事ばかりを任せてしったりする状況もないとは言えません。
また、来日する側も日本語を勉強したら母国に帰り他の仕事をするといった問題も起きています。制度問題だけではなく、待遇問題にも焦点を当てていくべきですね。
しかし現在多くの求人が出ています。今後介護業界で外国人が活躍する場面をもっと多く見かけることになるでしょう。