介護福祉士の実際の仕事って?身体・精神サポートから医療行為までさまざま 作成日:2017.10.17
最終更新日:2019.10.31
少子高齢化が極度に進んでいる昨今、高齢者の方を介護する介護福祉士の需要はますます高まっています。求人情報誌などでも、募集求人を多く見かけますよね。
この大きな流れは日本だけでなく、先進国全体で起こっていることです。
しかしながら「介護福祉士ってなに?」という質問に、きちんと応えられる人というのは案外少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、あまり仕事内容を知られていない介護福祉士の仕事について詳しく説明していきたいと思います。
介護福祉士は身体面から精神面まで全体をサポート
ではまず介護福祉士の仕事の全体像について大まかに説明します。
介護福祉士の仕事は大きく分けて以下の3つに分けられます。
・身体介護
・日常生活のサポート
・精神面のケア
身体介護は身体が満足に動かすことの出来ない方を身体的に助けることです。
日常生活のサポートは文字通り、日常生活でのサポートが必要な様々なことをお手伝いすることです。
精神面のケアは身体が満足に動かないこと、精神的にふさぎこんでしまうのを予防、対処し精神的に安定した状態になるようにサポートすることです。
これらの3つが介護福祉士の仕事の大きな柱として存在しており、それ以外の生活をより快適にする各種のサポートを含めたものが、介護福祉士の仕事となります。
これらのことを円滑に遂行するためには、様々な能力が必要になります。
身体介護は利用者1人ではできないことをサポート
まずは介護福祉士の仕事のなかでも大きな比重を占める「身体介護」について説明を行っていきたいと思います。
身体介護とは、着替えや排泄や食事などをサポートする生活介助、身体を常に綺麗に保ってあげる身体整容、外出のサポートまで広く意味します。
利用者の身体状況より必要な介助の内容は変わりますが、一般的に上記のことが行われます。
着替えや排泄などは介助が必要な場合は毎日行います。身体を清潔に保つことは精神的な安定にも大きな効果があるため、これも欠かすことの出来ない作業になります。
さらに自宅から介護施設まで毎日通っている場合や特別な外出などがある場合には、車椅子を押して車にのせ、その後の現地で手助けをするのも介護福祉士の大きな仕事の1つになります。
これらのサポートの他にも、起床時に身体を起こすのを手伝ったり、就寝時に快適に眠れる環境を作るのも介護福祉士の身体介護の仕事の内の1つです。
このようにひとくちに身体介護と言っても、様々な仕事があります。利用者が1人ではおこなうことができない習慣的な行動をサポートします。
日常生活のサポートは利用者の暮らしを助ける
次に紹介する介護福祉士の大きな仕事のうちの1つとして、日常生活のサポートがあります。
日常生活のサポートとは調理や買い物、部屋の整理整頓など、利用者の暮らしのサポートのことを指します。このようなサポートは利用者1人1人の生活ごとに変わることが多いので、業務内容は多岐にわたります。
例えば調理をするのが難しい状態で自宅に暮らしていたとすれば、介護福祉士が買い物や調理を行い、自宅にて食事を提供することもあります。
部屋の整理整頓や選択など、環境や身につけるものを清潔に保つ行為は精神衛生の向上に役に立ちます。
ここで大事になってくるのは介護福祉士と利用者とのコミュニケーションです。
コミュニケーションがしっかり取れていないと、利用者が本当に求めているものが分かりません。ニーズに合ったサービスの提供が出来ず、顧客満足度は大きく下がってしまいます。場合によってはトラブルに発展することもあります。
前述したように介護福祉士の仕事は人の日常生活に大きく関わるものなので、コミュニケーションも仕事を円滑に遂行するためには必要なスキルになります。
精神面のケアは利用者だけでなくその家族も
介護福祉士は身体面のサポートだけでなく、精神面のケアも仕事として行っています。
単純に話し相手になったり、近所付き合いを円滑にしたり、介護相手だけでなくその家族までも対象として精神面のケアは行われます。
話し相手になることは重要で、相手のストレスの軽減にとても役に立ちます。
しかし精神面のケアが必要なのは介護相手だけはありません。その家族を対象にしたメンタルケアも重要です。
自宅で介護を行っている場合は、家族の介護に関する相談にのったり、時には介護福祉士としての専門知識を教えたりする必要があるため、高度な知識と経験が必要になります。
介護福祉士は医療行為もおこなう
介護福祉士のおもな仕事は身体介護・日常生活のサポート・精神面のケアであることがわかりました。
介護福祉士の業務の幅が広いということはわかりましたが、それでは医療行為はできるのでしょうか?
ここでは介護福祉士の医療行為について解説します。
介護職全体では「医療的ケア」なら可能
まず原則的に、医療行為を介護職の人が行うことは禁止されています。
しかし、医療的ケアは介護職でも行うことは許されています。
医療的ケアは、日常生活で必要な医療的援助と定義付けられています。
しかし医療行為と医療的ケアという言葉だけ聞くと、それほど差があるようには思えませんね。医療的ケアとは実際どのようなものを指すのでしょうか?
介護職に許されている医療的ケア
まず、介護職全体が行ってもいいとされている医療的ケアをいくつか紹介します。
医療的ケアには服薬介助、軟膏の塗布、目体温計での体温測定、爪切り、綿棒による口腔ケア、市販の浣腸薬の使用などが挙げられます。
例えば、お湯をこぼしてやけどしてしまった時に冷水をかける行為は認められています。しかし、やけどの水ぶくれを破るなどは医療行為に当てはまってしまうため、許されていません。
血圧測定や体温測定は認められています。しかし、「血圧が高いから服薬を停止する」などの判断は医療的判断に当てはまってしまいますのでNGです。
介護福祉士のみに認められている医療的ケア
介護職全体に認められている医療的ケアとは、おもに応急措置や測定であることがわかりました。
それでは介護福祉士のみが行うことの出来る医療行為はなにがあるのでしょうか。
平成28年度の介護福祉士の試験から喀痰吸引と経管栄養の研修が加わったため、介護福祉士の資格を持っている人はこの2つを行うことが出来るようになりました。
喀痰吸引とは、寝たきりの方や加齢によって上手く飲み込めない人に対して、定期的に痰を取り除くことによって呼吸を確保することです。もし痰や唾液の除去を行わないと肺炎や感染症にかかってしまうこともあります。
経管栄養とは口から栄養を十分に取れない人に対して、管などを通して栄養や水分を与えることです。
これらの2つの医療行為は介護福祉士のみがおこなうことができます。研修を受けることによりこのような医療行為を実行できるようになります。
介護福祉士の仕事はとにかく幅広い!
さて介護福祉士の仕事を大まかに理解していただけたでしょうか。
介護福祉士の仕事は、身体介護、日常生活のサポートとそれらに関わる細い精神面のケアによって成り立っています。
ひとくちに身体介護といっても生活介助や身体整容など、業務は多岐に渡ります。さらに生活に密着する仕事なので様々な苦労も多いです。
また、多少の医療行為も行わなければならず、多くの知識が必要です。
介護福祉士がこれらのことを円滑に遂行するためには、単純な業務能力だけでなく、相手のニーズを感じ取るコミュニケーション能力や、チームを上手く管理するチームマネジメント能力も必要になります。
介護福祉士の資格取得の難易度が高いことも納得できますよね。
この記事を読んで少しでも介護福祉士について関心を持っていただけたら幸いです。
また、以下の記事にて介護福祉士の資格取得について紹介していますので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。