岩手県が介護職の求人倍率が低いその理由とは? 作成日:2017.10.24
最終更新日:2018.09.03
県の人口が減少する中、高齢者の人口は増加しています
岩手県の人口は年々減少していますが、高齢者の人口は増加し高齢化が進行しています。日本の少子高齢化が進む中、岩手県でも同じ問題を抱えています。
岩手県内で暮らす65歳以上の高齢者の人口及び総人口に対する高齢化率は、平成26年10月1日時点で29.5%でした。またそのうち要介護認定を受けている高齢者は要支援1・2で17600人、要介護1~5で57200人いました。要するに、岩手県全体の高齢者のうち19.8%が何らかの介護サービスが必要だと認定されていることになります。
岩手県内の主要都市では盛岡市で14100人、一関市では9400人が要介護認定を受けています。岩手県内では多くの高齢者が、介護の手を必要としています。
これらの高齢者が自宅や施設で快適な暮らしを送るためには、十分な人数の介護職員を必要とします。
岩手県内は介護職員数が足りている?
平成26年11月の岩手県内の介護サービス分野では、求人倍率は1.73倍です。全国平均を見ると2.51倍と高く、その数字から考えると岩手県内の介護職員の数はそれほど不足をしてないと言えます。
次に岩手県内で実際に働いている介護職員の男女比は男性21%、女性76%と圧倒的に女性が多いことがわかります。これは全国的に見ても同じことが言え、介護業界は女性が多く働いています。
また年齢に注目してみると県内の介護職員の平均年齢は43.5歳で、年代別には50歳以上55歳未満が多く17.4%を占めています。
全国的に見ても結婚・子育てがひと段落してから介護の資格を取得し、働きに出る女性が多くいます。岩手県も同じように育児が落ち着いた女性達が、介護の世界を引っ張っているのかもしれません。
介護職の待遇は良い
それでは、岩手県内で働く介護職員のお給料の状況はどのようなものでしょうか。
介護職員の待遇改善を求める問題は全国的にまだまだ続いており、これがこの業界で人手不足に陥る要因の一つになります。介護職員数にそれほど不足をしていない岩手県では、賞与を入れない月給の平均金額は185000円です。
全国の平均金額は193000円なので、比較すると8000円安くなります。しかし東北6県の平均月収と比較すると平均並みなので、暮らし向きに合った給料設定になっていると想像できます。仕事が辞めたくなるような安さではありません。
そして全業種での平均月収を比較すると岩手県は全国47都道府県中44位なのですが、介護職のみで比較すると39位になります。この数字を見た結果、岩手での介護職の待遇は良い方だと考えられます。
岩手県の介護の離職率は低い!長期間安定的に働く人が多い
介護の世界に限らず、あらゆる業界で離職率の高さが問題になります。それは全国の介護分野の事業所でも同じことが言え、職員の入れ替わりが激しいことが、もう珍しくなくなっています。前の結果で介護職の待遇の良さが明らかになった、岩手県の場合はどうでしょうか。
岩手県で介護職員の年間の離職率は、11.3%です。日本の全職業の離職率が15.6%で、全国の介護職員の離職率が16.6%です。平均の離職率より低い事からも、岩手県で働く介護職員はすぐに辞める人が少ないと考えられます。
そして前に書いた通り岩手は求人倍率が低く、介護職員の増加率は全国平均よりも低くなっています。
岩手県では介護事業所に就職すると、同じ人が長期間にわたって働き続けていることがわかります。めまぐるしくスタッフが入れ替わる介護施設が多い中、岩手県では同じ介護職員から安定したケアが提供される事が想像できます。
求人情報数はやや少なめ?
求人情報を見てみます。
各会社の介護職員の求人情報では、通所施設や入所施設での正社員またはフルタイムパートの募集が目立ちます。医療依存度や要介護度が高い高齢者を受け入れている施設もあり、研修制度が整っている事業所もありました。
在宅寮長中の訪問介護の求人では、パートタイム労働者の募集も目立ちます。
求人倍率が高くない事からもわかる通り、求人情報の数は多くないと感じます。そしてそれぞれの事業所の仕事内容が明確に記されており、同じ介護職の仕事を探す人でも自分がやりたい内容に近い会社が見つけやすいのだと感じます。
情報をまとめると
岩手県は人口の減少と高齢化が年々進行しており、介護を要する高齢者の数も増えています。その一方で若い世代が少なくなり他県と同様、介護業界では人手不足が深刻な問題になっているのではと想像しました。
しかし岩手県は介護職の求人倍率が低く、介護職員の数はほぼ満たされた状態です。その背景には多職種よりも待遇が良い事があり、月収が全国平均を下回っていても東北6県の平均金額と変わりはありません。
1人1人が安定的に働き職員の入れ替わりが少ないので、コミュニケーションが取れていてケアの質や技術の向上にもつながると考えられます。