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「介護職の給料はなぜ安いか」3つの理由!これから年収はあがる?上げる方法も紹介

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介護職の給与がなぜ安いか考える人

給与が安いと言われている介護職。どうして介護職は給与が安いんでしょうか?

だって、超格子高齢化の中、需要だってあるはず。仕事も、たくさんお金をもらっても、おかしくないくらい大変ですよね。

今回は、介護職の給与はなぜ安いのかということをわかりやすく解説していきます。

また、今後給与がどう変化していくのかもご紹介します。

実際に介護の給与はどれくらい低いのか

実際に、他の職業と比べてみた時、介護職の給与はどれくらい安いのでしょうか。以下に日本の平均年収を比較したものを載せていきます。

年代 介護職 全体平均
20代 275万 350万 75万
30代 340万 460万 120万
40代 360万 585万 220万
50代 410万 720万 310万

見るからに差がついていますね。しかも、その差は75万、120万、220万、310万、と年々拡大していっています。

介護職の給与は日本全体と比べると、頭打ちという特徴があるようですね。

生涯賃金で見ると5,000万円も違う!

生涯賃金で見ると、日本の平均生涯賃金が1億7,000万円なのに対し、介護職の生涯賃金は1億2,000万円となっています。

  • 日本の平均生涯賃金=1億7,000万円
  • 介護職の生涯賃金=1億2,000万円

一生で5,000万円の差がつくことになります。

介護職の生涯賃金が1億2,000万円であることを考えると、5,000万円はほとんどその半分。人生で稼ぐ額の半分の差がついてしまうことになります。どれだけ大きな差かがわかりますよね。

介護職の給与が安いのはなぜ?3つの理由

どうして介護職の給与はここまで安くなってしまっているのでしょうか?原因としては以下のことが挙げられます。

  • 給与が公的に決められているから
  • 雇う側がお金を溜め込んでいるから
  • だれにでもできる仕事だと思われているから

こんな理由があるんですね。それぞれについて説明していきます。

国によって安い給料が設定されているから

介護職の給与が安い理由として一番に挙げられるのは、「国によって安い給料が設定されているから」という部分があるでしょう。

介護サービスは「介護保険」でまかなわれる

→介護保険では「介護報酬」が安く設定されている

→だから介護職の給料は安い

介護報酬は、医療の報酬よりも安い設定です。

介護のサービスには「介護保険」が利用されます。介護保険の中で支払われるため、介護職員1人に対する給与「介護報酬」はだいたい一定です。

そもそも介護保険制度では労働者にお金が来ない?

そもそも、介護保険の制度ができた背景としては「医療分野では医療費がかかりすぎるから、分野を分けて低コスト化を図った」というものがあります。

医療保険は国の負担が大きい

もともと介護の仕事は、看護師や医師が行っていました。医師や看護師の給与は、介護職に比べて高いです。

医者や看護師のような病院で働く職業の給与は、「医療保険」によって賄われています。医療保険は、専門性が高い医療分野のサービスを、安価で安定して受けられるように整えられた制度です。

国民にとっては非常にありがたいですが、国にとっては負担が大きいのが、「医療保険」なんですね。

高齢者を医療保険でまかなっていくと国の負担が甚大に

医療保険は国の負担が大きい。「加速していく高齢化社会の中で、お年寄りのお世話に、こんなにたくさんお金はかけられない!」と、国が判断しました。そして、介護保険の制度ができたのです。

そのため、介護報酬は医療報酬よりも安くなっています。

介護保険の制度ができた背景からして、介護職の給与は上がらない、という流れになってしまったというわけですね。

雇う側がお金を溜め込んでいるから

内部留保」という言葉をご存知でしょうか。施設や企業が社内でしている貯金のことを「内部留保」と言います。この内部留保、介護施設の場合も結構あるんです。

施設がお金を貯め込む内部留保の例を紹介

公的施設として人気のある「特別養護老人ホーム(特養)」全体の内部留保が、なんと約2兆円。1つの特養について、3億円を超える内部留保があるという調査が発表されました。

全特養の内部留保額=2兆円

1特養平均内部留保額=3億円

「介護報酬の入金は2~3ヶ月後。お金を保存しておかないと給与が払えなくなってしまう」という声もあるようです。しかし、その給与分を差し引いても1億円近い額が残っている現状です。

もちろん、内部留保は仕方ない部分もある

もちろん、すべての内部留保が悪、というわけではありません。

特に介護業界の場合は、介護保険制度を国がコロコロ変えていきます。まだまだ若い保険なので仕方のないことですが、安定した経営をするのが難しいのです。

そのため、ある程度お金を貯めることで、介護保険の変更に備えなければなりません。これは職員や利用者を守るために、必要な貯金だという声もあります。

一部の社会福祉法人が搾取!?

特別養護老人ホームを運営している公的機関を、「社会福祉法人」といいます。

この社会福祉法人に内部留保がたまっていくわけですね。しかし、社会福祉法人の内14%は内部留保がないという調査もでています。

(特養を運営する)社会福祉法人の14%は内部留保がない!

この結果からわかるのは、一部の社会福祉法人が、内部留保額の平均を引き上げているということ。

すべての社会福祉法人が内部にお金を溜め込んでいるというわけではありません。しかし、「全体の平均内部留保額」を引き上げるだけの留保をしている法人も存在することもわかりました。

この留保金がすこしでも介護職に還元されれば、給与アップも望めそう……と考えるのは、自然ですよね。

だれにでもできる仕事だと思われているから

(介護は)だれでもできる仕事だから単価は残念ながら上がらない

これは堀江貴文氏、通称ホリエモンが一時期世の中を騒がせた言葉です。最近では、保育士の給与の安さに対しても「誰でもできる仕事だからです」と言って炎上していましたね。

この言葉は、このように続きます。

だれもやりたがらない事をひたむきに安い給料で頑張るからいつまでも給料が上がらない

安い給与で働き続ける介護職の方がいるから、介護職の給与は変わらない、というのです。

介護職は「だれもやりたがらない事」?イメージは「3K」または「4K」

介護職は「3K」と呼ばれています。「きつい」「きたない」「きけん」の3つを合わせて「3K」というのです。

最近では、これに「給与が安い」を加えて「4K」なんて呼ばれることもあります。

世間ではこのような介護職の悪い一面が取りざたされています。

「4K」なのに介護職は仕事をやめない

介護業界への世間のイメージから、介護職として働き出す人は、「本当にやりたい人」か「介護職ならできると思っている人」に分かれてしまいます。

介護の仕事がしたい、人の役に立つ仕事がしたい、と考えている方の場合は仕事にやりがいを持っています。そのため、薄給でも仕事を辞めるまでには至らない「やりがい搾取」の状態になってしまうのです。

介護職の就業ハードルの低さから就業を決意した方にとっては、「ここをやめて次はいいところにいけるのか」という転職への不安が常につきまといます。結果やめることをためらってしまいます。

介護職、薄給のスパイラル

給与が安くても働いている人がいるから、どうにかなってしまう。現在はそんな状況が続いてしまっています。

国や経営者側では、コストは抑えられたら抑えられるだけよいもの。今の状態でどうにかなっているなら、無理に給料をあげようとは思いませんよね。

悲しいことですが、経営者が内部留保を溜め込むのも、国が介護報酬を低く設定しているのも、介護従事者が足元を見られているのが根本的な原因かもしれません。

2019年の施策とは?今後はどうなる介護職の給与

さて、ここまで介護職の給料が一般よりも安いという悲しい現実の話をしてきました。しかし、その介護職の給料を上げるという施策が、国によって打たれています。

2019年10月に勤続10年の介護福祉士の給与が8万アップ

2017年12月8日に「勤続10年になる介護福祉士の給与を月8万円アップする」提案が閣議決定されました。

介護職離職は年間なんと10万人に上ります。この介護職の離職者を引きつけるための施策として、勤続10年の介護福祉士の給与を上げる施策が立ったのです。

介護福祉士の減少に歯止めをかけようという施策

介護福祉士の資格試験受験者数も、第26回(平成26年)から、だんだんと減ってきていました。第29回の受験者は7万6,323人、前年の第28回の15万2,573人に比べて、半分以上も減少していました。

介護福祉士の給与アップが決定した直後の第30回では、9万2,654人にまで持ち直しました。

【介護福祉士試験の受験者数推移】

回数 受験者数
第28回(平成28年) 15万2,573人
第29回 7万6,323人
第30回 9万2,654人

現在もらえる介護福祉士は少ない、額が多少変わる可能性も

現状、介護福祉士の平均勤続年数は6年間。賃上げの対象になるのは10年以上の介護福祉士なので、あまり多くのひとがもらえるというわけではないんです。

また、介護福祉士の給与の配分を決めるのは介護施設なので、額にはある程度の差が出てしまう可能性が出てきます。

施設内での評価も給与に関わってくくる、というわけですね。

これからも介護職の給与は上がっていく可能性が高い

今は、介護の前の予防をしっかりと行うような施策が打たれたり、施設に入れる前に地域で助け合いましょう、という「地域包括ケアシステム」などの新しい制度もできてきています。

とはいえ、加速している高齢化社会の中で、介護職の存在は無くてはならない存在なのに変わりはありません。介護職の給与の安さが取りざたされている現在。ここから介護職の給与はどんどんアップしていくと考えられます。

2017.08.10
介護職の給料アップ政策を政府が次々と発表!その内容とは?

介護職の給料は今後もアップしていくのか。

介護職の給料の低さは改善され職場の状況も良くなる

介護職の給与の低さは、国の制度や介護職の専門性への認知度の低さなど、さまざまな要因が絡み合って生まれています。

介護職の給与の安さがクローズアップされている現在。今後も介護職の給与の安さはもっと取り沙汰されていくでしょう。

そんななかで、現に介護職の給与は、徐々に上がってきています。

これから現場の人材不足の改善や、有能な人材の確保などもどんどんできていくようになります。介護の専門性もあがっていくでしょう。

そうなれば、もっと働きやすく、いい職場が増えていきます。

「介護職はだれでもできるから仕方がない」ではなく、仕事の専門性が認められ、給与の底上げがなされる世の中になってくることで、どんどん介護業界も活気のある業界になっていきます。

国にまかせておけない!自力で給料をアップする方法

ここまで介護の給与が低い理由を説明してきました。しかし、気になるのは「実際にどうしたら給与があがるの?」という部分ですよね。

国は動くのを待ってられないよ!という方もいると思います。

さまざまな方法がありますので、こちらで紹介していきます。

資格を取ろう!

一番確実な方法としては、資格をとることでしょう。

大抵の介護施設では、資格を持っているだけで「資格手当」がでますし、月給・年収アップに確実に一役買ってくれます。

【介護職の資格】

  • 初任者研修
  • 実務者研修
  • 介護福祉士

自分が転職する際のカードにもなりますし、昇進するにも必要になります。

初任者研修の場合は最短1ヶ月で取得ができます。無資格の場合はとっておくと良いでしょう。

派遣会社には働きながら無料で資格取得できるところもある

また、介護の派遣で働く場合は、無料で各資格が取れるようなサービスを展開しているところがあります。

例えばきらケア派遣かいご畑は無料で資格が取れます。「働きながら無料で資格が取りたい!」という方におすすめです。

転職をしよう!

手っ取り早く給与を上げたい、と思った時は、転職をすることをおすすめします。

施設によって給与も変わってきます。今は多くの施設もありますし、今の境遇よりも良いところは必ず見つかります。

探し方がわからない場合は、派遣の事業もやっている「きらケア求人」などの介護職専門の転職エージェントに相談してみましょう。

「給与が上がる求人」を確実に見つけてきてくれますし、面接などの相談もできます。

また、自分の市場価値を知る、という点でも、転職エージェントを利用できます。すぐに転職を考えていなくてもOKで、サービスも完全無料なので、おすすめですよ。

2018.01.16
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