転職先に意外と介護業界!?40代の方に特におすすめの理由 作成日:2020.03.24
最終更新日:2020.03.25
コロナや不況の影響で、最近は転職市場にも無視できない停滞が起きている。
そんな転職市場の中で、おすすめしたいのが介護業界。少子高齢化が叫ばれる近年、需要が高まり続ける職種だ。
しかし、介護業界というと、ブラックなイメージがつきまとう。
3K(臭い・汚い・危険)などと言われていて、過激派の中では、「4K」ともいわれている。(先述の「臭い・汚い・危険」に追加で「給料が安い」が入る)
そんな介護職のイメージは昨今だと、実は古いものになってきている。
この記事では、全ての転職と40代の方に「介護職」をおすすめする理由や、介護職の魅力ややりがい、そして転職に成功する方法など、網羅的に説明していく。
そもそも転職自体が難しくなる時代が来る?
コロナの影響もあり、転職市場は落ち込み気味だ。
例年、新卒は就職活動に精を出すのがこの時期。しかし、コロナの影響で合同説明会などがめっきりなくなっている。
もちろん、新卒の就職でなく、転職の市場でも大きく影響を出しているのがコロナだ。
企業では、採用面接のキャンセルが相次いでいる。また、コロナの対応に忙しく、採用自体が縮小しているケースも少なくはない。
企業はWEB面接などで対応しているようだが、結果的に慣れないWEB面接自体が、「採用率が落ちる」ことにつながっている。
転職市場の落ち込みは、付け焼き刃では解決できないほど根深い問題になってきた。
そもそも五輪の延期で大分痛手を追う日本社会
五輪が延期になることで、経済への影響は約3兆円と言われている。
五輪が行われさえすれば…。と楽観視する声も聞こえてくるが、2020年の世界経済は空前の不況。リーマンショックまではいかないまでも、世界的借金バブルの反動が来ている。
リーマンショックのときも、日本は先進国の中で突出して影響を受けた国だ。そんな日本が、この不況を五輪というジョーカーを使いどう乗り切るか、というタイミングだった。そんな時に五輪の延期が決まりそう。かなり「まずい」状況なのは、火を見るより明らかだろう。
不況=リストラ・就職難は当然起こりうる
不況のセオリーを追うと、まずは消費が落ちていく。そして、中小企業・大手企業と、どんどんリストラが起こっていく。
リストラの対象になるのは、給料は高いわりに未来のない、40代なのは、想像に難くない。(※筆者の個人的な主観ではなく、「古き良き大手」の給与形態・若者の転職市場の活発化を鑑みている。40代の人に未来がないのだと言いたいわけではないのでご承知おきを)
経営が難しい企業の場合、倒産してしまう可能性も大いにある。当然、職を失う人もたくさん生まれることになるだろう。
人を雇う体力がない会社が起こす就職競争
40代の人が「欲しくない」のは、リストラをする会社だけでない。
積極的に採用をしたいと思っている企業ですら、優先的にほしいのは若い人材だ。
中途を取ろう!となっても、ある程度の経験さえあればいいという企業が多い印象だ。即戦力がほしいにせよ、数年の業務経験があれば問題ないのだろう。むしろ、会社の色に染めやすく、経験年数が浅いほうが歓迎される傾向にある。
若年層はまだ転職や就職の可能性はある。
戦うのは経験豊富で学歴優秀の「30代」
最近はベンチャーでも大量採用している企業も多く、「30代前半でマネジメント経験が豊富」という、中小でしかありえないような状況が、1万人規模の会社でもありえるようになっている。
つまり、「大手のネームバリューと経験を兼ね備えた若きビジネスパーソンの30代」と40代は戦わなくてはならない、ということだ。
実際に就職競争が起こった際、最初に振り落とされるのは「リストラされた40代」ということだろう。
介護職の未来は意外に明るい
「不況が来る」「40代はリストラされ、再就職は難航する」という文脈で介護職を勧められると、「介護業界に人気がなく人不足が加速していて、誰でも働けるからおすすめなのだろう」と思う人も多いだろう。実際、介護業界の人材不足は日々叫ばれている。
ただ、おすすめの理由を語るには、まず介護業界に対する誤解を解かなければならない。
地域・施設差はあれど、労働環境は改善されている
介護業界の労働環境・待遇は日々改善されてきており、ブラックのイメージはもはや過去のものになりつつある。
苦しい暮らしを更に加速させたとわれている「消費税増税」だが、その財源の一部は、介護福祉士の給与改善として利用されていることをご存知だろうか。
勤続10年以上の介護福祉士の給料に月額8万円の改善が行われている。また、役職者を除く全産業平均水準440万も設定していて、リーダーレベルの介護職には他の産業と遜色ない賃金水準を実現する見込みになっているのだ。
AIやICTによる業務効率化推進も行われている
厚生労働省が2018年の10月に、2040年を展望した社会保障・働き方改革本部を設置した。2040年といえば、寿命が今よりも伸びていて、介護職の滋養も高まるはず、という前提で、以下の施策を打ち出している。
- 多様な就労・社会参加の環境整備
- 健康寿命の延伸
- 医療・福祉サービスの改革による生産性の向上
- 給付と負担の見直し等による社会保障の持続の確保
このように、「医療・福祉サービス改革による生産性の向上」を言っているだけあって、AIやICTの導入をどんどん行う方針に間違いはない。
AI・ICTは具体的にどのようなものを指す?
AI・ICTと聞くと、近未来的に感じる人も少なくないだろう。
医療・介護業界でのAI・ICTの導入は、そんなに難しいものではなく、単純に「人間では限界が来る部分を補足する」機能を担う。
パワーアシストスーツというものも
例えば、「パワーアシストスーツ」という介護支援ロボ。ロボと聞くとガンダムのようなものを想像してしまうが、イメージでいうとアベンジャーズのファルコンのような感じだ。ピンとこない人もいるだろうから補足すると、一時期ヤクルトスワローズで提案されていた新キャラのような感じ。(よりわかりづらくなっている感は否めない)
このパワーアシストスーツは、介護の動きをサポートしてくれるスーツだ。
装着により、歩行支援やリハビリ・重作業の身体的負担を軽減してくれる。
パワーアシストスーツは既に市販されている・企業努力に期待大
じつはこのパワーアシストスーツ、各企業から既に市販されている。一部施設には既に導入されているが、設置の面倒さなどで結局宝の持ち腐れになっている例も少なくないという。
ただ、ここから介護業界の理解が深まり、ロボットの需要が高まれば、企業間での機能向上・大量生産化・料金戦争などが起こるのは難しくはない。
一時ブームは過ぎてしまったようだが、まだまだ期待できるのは、国の方針からいっても間違いないだろう。
AI・ICTの導入で介護職の労働環境は良くなる
AI・ICTの導入は、介護職の労働環境を良くするのに、少しばかりは力を発揮するだろう。今までは1~2人で施設の見回りをしていた夜勤も、介護カメラの導入で、見回らずとも施設を見ることができるようになる日はそう遠くはない。
スーツやその他、介護用のロボット導入で、介護の「臭い・汚い・危険」の3Kが改善される日は遠くない。
介護施設の大規模化も国は推進しようとしている
2040年を展望した社会保障・働き方改革本部は、医療・福祉サービス改革のために、介護施設の経営統合なども行おうとしている。
介護施設が大規模化することにより、小さい施設では1人で見回っていた分が3人になるかもしれない。料理の配膳などを手伝っていたのが、厨房のパートが増えて、行わずに済むようになるかもしれない。ひとまず業務が効率化されるのは間違いないだろう。
まだまだ希望的観測の域を出ないが、経営統合により、潰れる可能性が減る。また、勤怠管理などもしっかりと行わざるを得なくはなるだろう。
待遇改善・業務効率化で介護職の未来は明るい
介護を取り巻く状況は、来年・再来年と年々変化するのは間違いない。
福祉・介護業界での働き方改革によって、人材の確保がだんだんとできるようになっていく。労働改善も行われることで、結果的に介護職の「楽さ」はある程度担保されるようになっていくだろう。
特に、過重労働を防ぎ、ストレスを軽減させるために、業務の効率化が有効だ。
介護業界ではこれまでの業務のあり方にとらわれない、大胆で革新的なソリューションを導入してく予定。ということで、未来には期待できる。
40代に介護職がおすすめの理由とは
介護業界が案外悪くないことを知ってもらった上で、40代に介護業界がおすすめの理由を説明していく。
仕事の成果を利用者の様子から実感できる
介護は社会福祉の仕組みに組み込まれ、高齢社の自立・満足を支援する仕事だ。家事代行や食事・排泄など生きるために必要な行動を手伝うことが具体的な仕事になる。
介護職の良いところといえば、そんな高齢者のお手伝いをすることによって、高齢者のリアルなリアクションから、相手の満足や回復を目に見えて見ることができることだろう。
基本的には介護施設で毎日顔を合わせることになる利用者(被介護者)。そんな利用者の日々の暮らしをサポートできるのには、この上ないやりがいがある。
リハビリして出ていく形の施設か、看取りまで行う施設か
介護施設によっては回復を促すものではない施設もある。
利用者との最期の別れは、辛い。もちろん向き不向きがあるだろう。
とはいえ、リハビリをサポートして自立を促す施設の場合、じっくりと関係を育むのが難しいといわれている。介護職の持っている裁量も、リハビリ担当や看護師の方に寄っていて、自分で決められることやコミュニケーションの範囲が狭まることも。
効率的に、しっかりと自立に導く喜びを追うか、じっくり関係づくりをして最期に送り出すか、どちらが良いかは人によるだろう。
ものを売る仕事じゃないからこそ「ありがとう」が重い
介護職が接する人は、利用者だけでなく利用者家族もいる。
自分の仕事に関して心から「ありがとう」といってもらえる機会は他の仕事よりも多お。
品物を売る仕事ではなく、自分の心遣いや相手との関係性を提供する仕事だ。そのため、「ありがとう」は行為ではなく、あなたの存在自体に言われることが多い。
このやりがいは他の仕事では感じることは難しい。
自分が将来必要になる介護スキルが身につく
世知辛いようだが、40代の場合、両親の介護の文字が少しばかり頭をちらつくこともあるだろう。まだまだ元気だから、と高をくくっている人もいれば、既に介護に従事している人もいる年代だ。
親がまだまだ元気でも、そうでなくても、介護スキルはいずれ役立つ可能性が高い。しかも、思っているよりも近い未来で。
実際に家族に介護が必要になった際、冷静に状況に合わせた対処や手続きが踏めるようになる。これは人生において大きな価値だ。
40代からの挑戦でもキャリアアップできる
少子高齢化の影響で、今、介護業界は人手不足だ。
多くの施設や事業所で、年齢や経験に関わらず人を採用・育成している。
40代の転職だと、即戦力性が重視されることが多い。というか、即戦力でなければ見向きもされないこともあるだろう。
40代の転職の場合、挑戦やキャリアアップの可能性は狭まる。その点、介護職の場合はキャリアアップや朝鮮におけるハードルがない。
資格取得でできることが増え、応じて給料も上がる。着実なキャリアアップの道がわかりやすい介護職は、40代でマンネリ化しつつある仕事観を大いに変えてくれるだろう。
40代からの介護転職、具体的なキャリアプランは?
40代から介護転職するとして、キャリアップの道は明確だ。介護職のキャリアアップについては、従事している人以外は案外知らないことが多い。
理由は多々あるが、資格数が他の職種に比べて多いことなどが挙げられるだろう。
ここでは、具体的な資格名を含めて、介護業界のキャリアアップ方法を紹介していく。
初級:「初任者研修」「実務者研修」を取得し、有資格者になる
介護業界で給料を決めるのは、「有資格かどうか」という部分が案外大きい。介護という仕事自体は資格がなくてもできるのだが、有資格かどうかで、できる仕事が変わってくることを知らない人は多い。
ここでは、第一歩目で取るべき「初任者研修」と初級資格になる「実務者研修」について説明していく。
- 介護職員初任者研修…介護職として働くいわば「入門資格」。介護職の基礎知識・技能を研修で取得できる。旧ホームヘルパー2級に相当する。
- 介護福祉士実務者研修…名前に「介護福祉士」とあるが、介護福祉士とは別の資格。終了すると身体介護だけではなく、一部の医療行為ができるようになる。この資格を持っていないと回復ししの試験に受からない。
介護職では、資格の有無が給料や信頼に大きく影響する。働くのであれば、手の届く資格から素早く取得することをおすすめする。
初任者研修も、実務者研修も受験に必要な項目は特に無い。実務者研修から取得することももちろん可能だが、介護に関する心構え等も知ることができる初任者研修から取得するとスムーズだ。
中級:「介護福祉士」資格を取得し、介護現場のプロになる
現場介護職の資格の中で唯一の国家資格である、「介護福祉士」。現場での実務経験が3年以上あり、かつ実務者研修を取得して始めて手に入れることができる資格だ。
- 介護福祉士…介護現場のプロ。利用者へのサービス提供だけでなく、共に働く介護職の教育や指導・管理も仕事になる。マネジメントをする立場というよりかは、現場のリーダーというイメージ。
今後現場で働き続けるか、管理職としてキャリアアップするかに関わらず、介護福祉士の資格はとったほうが良い。どのようなキャリアを歩むにせよ、介護業界の40代を必ず助けてくれる資格だ。
実務経験が3年必要ということで、介護福祉士の資格を取るのに少なくとも3年経っている。40代に転職したとしても、50代もはじまる歳くらいまでには努力次第で取得できる。