政府による介護職の給料アップ政策をご紹介!介護職員処遇改善加算とは?新政策で賃上げ? 作成日:2017.08.10
最終更新日:2019.11.13
政府が発表した介護職の給料アップ政策を述べるとともに、現状の待遇や今後の見通しなどをその理由とともに列挙していきます。
現在介護職に就いている方も、これから介護職に就こうと考えている方も、是非参考にしてみてください。
介護職の給料アップ政策を政府が次々と発表!
「介護職員処遇改善加算」。介護業界では話題のワードで、聞いたことがある人も多いでしょう。
人材不足の介護職の給料を、政府がお金を払って増やそう、という施策です。
2015年には1万3,000円引き上がる結果になる
「介護職員処遇改善」により、介護職の給与水準が引き上がりました。今までの給料に介護報酬を上乗せしして、手当がもらえるようになったのです。
2015年度より始まったこの政策により、介護職の給料は最大で1万3,000円引き上がりました。
2017年には月収がプラス1万円になった!
これに加え政府は、人手不足が深刻化している介護職の賃金を2017年春よりさらに月額で1万円引き上げました。
また、介護事業者に対しても別の助成制度が導入されています。
それは、定期昇給制度と呼ばれるもので、離職率の下がった介護事業者に対し、最大200万円を支給する制度です。
「介護職員処遇改善加算」とは
「介護職員処遇改善加算」は、介護職員を増やすために、介護職員の賃金や研修制度を充実させている事業者を優遇する制度です。これにより多くの事業所で従業員の給料の引き上げが行われました。
介護職員処遇改善加算=「介護報酬が介護職員の処遇改善で加算される」制度
介護職員処遇改善加算とは、「介護報酬が介護職員の処遇改善で加算される」制度です。
介護保険では、国が事業者に支払う介護報酬の額決定しています。
介護の報酬額を決めるにあたって、介護職員の待遇を改善する事業者には、金額を上乗せすることが、この新制度により約束されたのです。
事業者が処遇改善の条件をクリアしていれば介護報酬が上がる
事業者の届け出により、国が定めている基準に従って、本当に待遇が改善されているのかを確認します。
もしその条件をクリアしていれば、介護報酬が多く支払われる仕組みになっています。
上乗せによって介護職員の給料も上がる!
処遇改善が行われている事業所には上乗せで介護報酬が知ら払われます。
その上乗せによって、介護職員のも多くの給料が支払われるようになるのです。
処遇改善に取り組んでいる施設では、どんどん職員の待遇がよくなっていく、というわけですね。
政府の方針としてできた加算報酬
給与水準が低い業種が他にもある中で、なぜ介護職だけが特別扱いなのか。
これらの決定は、「介護離職ゼロ」の達成を目指す安倍政権により打ち出されました。介護職の給料アップは政府による政策方針なのです。
多くの税金がかかるため反対する人も
介護職の給与がアップすることは多くの人にとって歓迎されることです。
しかし、反対している人も少なからずいるのは事実です。
新聞報道によると、定期昇給制度の導入の助成には約152億円、また2017年からの介護職の賃金引き上げには約1,200億円の予算がかかります。これらは、国民の税金で賄われています。
まだ介護職のお世話になっていない方や、介護職として働いていない方にとっては、「自分が払った税金を!」という気持ちになってしまう部分もあるのかもしれません。
とはいえ、誰もが将来的にお世話になる可能性のある介護職。どうにかいい条件で働いてもらい、気持ちよく素敵な介護をしてくれるよう願う世の中になってほしいものです。
「介護職員処遇改善加算」を受けるための条件は?
実際に「介護職員処遇改善加算」を受けるための条件はどんなものになるのでしょうか?
具体的な条件としては、以下の2つです。
- キャリアパス要件
- 職場環境等要件
詳しく説明していきますね。
条件①キャリアパス要件
そもそも「キャリアパス」とは「昇格・昇進の筋道」という意味です。
「キャリアパス要件」では、昇格・昇進の筋道をしっかり施設側で決めることで、国からお金が支払われるようになります。
キャリアパス要件をクリアしているかはどう判断する?
キャリアパス要件について気になるのは、「要件をクリアしているかはどう判断するのか」という部分。
「キャリアパス要件」を評価するために確認することは以下の要素です。
- 資格や経験年数、介護技術など、役職につくに当たっての条件が決まっていること。
- それぞれの役職や仕事内容において、それ相応の給料が決まっていること
- 就業規則が決まっていて、全介護職員がそれを把握していること
- 職員の資質向上のために計画的に研修を実施し、そのためのシフト調整や費用援助をすること
- それらの支援体制があることを、全介護職員が知っていること
以上のことが確認される必要があります。
条件②職場環境要件
「職場環境要件」とは職場改善の取り組みの内容を全職員が知っていることです。
職場改善の取り組みとは例えば、「育児休暇制度」や「業務上のマニュアルの完備」などです。
いくら制度や業務マニュアルがあったところで、職員がそれを知って、利用しなけれんば意味はないですよね。
職場改善の取り組みを職員が把握することで、改善をより促進させることが必要です。
そのため、「職場環境要件」が処遇改善の条件となっているのです。
「キャリアパス要件」「職場環境要件」を満たすと加算が得られる!
以上のキャリアパス要件と職場環境等要件のうちいくつか、あるいは全てを満たせばその達成度合いに応じて介護報酬が加算されるようになっています。
これが、「介護職員改善加算」です。「介護職員改善加算」によって、大手企業では軒並み賃上げが実行されました。
しかし、「介護職員改善加算」の給料アップにも限度があります。介護職員の給与問題は、まだまだ解決したとはいえません。
とはいえ、日々施策は考えられていて、介護職員の未来は徐々に明るくなってきています。
賃上げ施策としては勤続10年以上の介護福祉士にも!
2017年12月、政府は勤続10年以上の介護福祉士の給与を平均して月8万円相当賃上げするという制度を2019年の10月から開始することを閣議決定しました。
約1000億円もの規模の財源をこの政策に投入するというのですから、力の入れようがいかに大きいかが伺えます。
介護離職ゼロのために頑張る政府
この政策の背景には「介護離職ゼロ」の方針があります。
現状、介護福祉士の平均勤続年数は6年となっています。勤続年数の平均を引き延ばし、離職率を下げて介護福祉士の人手不足を補うことが意図されています。
しっかりと還元を受けたいなら下調べが重要に
しかし、この賃上げは国からの支給が一度事業所に入り、事業所が各介護福祉士に賃上げの程度を決定することになっています。事業所により、職員への支給額にばらつきが出ることになります。
もししっかりと還元を受けたい場合は、下調べをしっかりして働き出す必要がありそうですね。
その他の国の取り組み
介護業界での深刻な人手不足を解消するために、政府は他にも取り組みをしています。
- 介護福祉士を目指す学生への奨学金の返済免除
- ボランティアを行う人への入門的研修、職場体験の実施
- 働きやすい職場づくりに取り組む事業者のコンテスト、表書きの実施
- 介護職場定着助成金の創設
- 介護施設等における職員のための保育施設の整備加速化
- 介護ロボット・ICTの活用促進
これらにより政府は、具体的に人材確保を行うつもりです。また、さらなる給料アップに向けて成果報酬型への以降も検討しているそうです。
介護業界は良くなってきている!処遇改善のおかげで光ある未来へ
ブラックなイメージがある介護業界ですが、全く先が見えない業界ではないのです。
それは、政府が支援していることからもわかると思います。要介護者が減少することはまずありえません。高齢化が進む中で必要とされている業界です。
介護職員の待遇改善は今後確実です。その点で、介護職は光のある業界といえるでしょう。
しかし、政府の目的はあくまでも人材確保であり、ひとりひとりの給料アップではありません。
給料アップのためには、資格をとることや転職を考えるなど、個人での努力も必要になってきます。
自分の明るい未来のためにも、自分の今いる立ち位置を見極め、より良い判断ができるようにしましょう。